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身近にある不気味な技術

モスキート音、青色照明、顔認証、映像解析AI、人流データ、PC操作ログなど、日常化した管理技術を観察するノート。

身近な技術の不気味さは、違法かどうかよりも、本人の自覚の外側で空間のルールが変わるところにある。

海外の環境音楽家が来日した際、コンビニで使われているモスキート音を収録することが、来日目的のひとつだったという話を聞いた。

調べてみると、モスキート音を利用した装置は、年齢によって高い周波数の聞こえ方が異なるという、人間の聴覚の特性を利用しているそうだ。日本では、コンビニ前や駅前などで未成年がたむろしないように設置されることがあり、国によっては若者を公共空間から排除する技術として、人権や差別の観点から議論されているという。

最初に聞いたときは、ほとんど都市伝説のような話だと思った。しかし特別な実験技術ではなく、実はよく知られた既製品だった。

そこから興味が湧き、日本の身近な場所にすでに存在している「不気味な技術」をいくつか調べてもらった。この記事は、その記録としてAIに執筆してもらったものである。

モスキート音(高周波音発生装置)

Section titled “モスキート音(高周波音発生装置)”

東京都足立区の公園への設置が2009年に報じられ、販売元のページでは、公園、コンビニ、マンション、駐車場、駅、ショッピングセンターなどが導入場所として挙げられている。

この装置は、若い世代ほど高い周波数を聞き取りやすいという聴覚の差を利用する。販売元は17.6kHzの高周波音を説明しており、可聴域の上限に近い音である。

  • 場所: 公園、コンビニ、マンション、駐車場、駅、ショッピングセンターなど
  • 使われ方: 若年層が長く滞在しにくい環境を作る
  • 不気味さ: 同じ場所にいても、ある年齢層には何も起きていないように見え、別の年齢層には不快な音として響く

ここで起きているのは、看板や警備員による注意ではなく、身体感覚を使った空間の選別である。

壁面に設置されたモスキート音発生装置。金属ケージの中にスピーカー状の機器がある。 モスキート型の高周波音発生装置。撮影: Sunmist / 出典: Wikimedia Commons / ライセンス: CC0 1.0 / 変更なし。

駅ホームや踏切の青色照明も、感覚に作用する管理技術として見ることができる。青色には人を落ち着かせる効果があるという期待や、海外で犯罪抑止効果があったとされる話を背景に、日本では自殺防止策として導入されてきた。

首都圏の一鉄道会社の駅データを使った研究では、青色LED照明を設置した駅で鉄道自殺者数が大きく減少したと報告されている。2013年の論文では84%減、2014年の関連研究でも74%減という推定が示された。

ただし、この研究自身も限界を挙げている。

  • 単一の鉄道会社のデータである
  • 青色光がどのような心理メカニズムで自殺を抑止するのかは検証していない

効果がありそうな設備として置かれているが、なぜ効くのかは十分に分からない。そこに、やや不気味さがある。

オフィス、マンション、学校、学習塾では、顔認証で解錠や出欠・入退室記録を行うシステムが使われている。ICカードの紛失やなりすましを減らせるため、導入理由は分かりやすい。

一方で、顔は持ち歩く鍵にもなるし、記録される識別子にもなる。日常的に残るのは、たとえば次のような情報である。

  • 誰が
  • いつ
  • どこへ出入りしたか

学校や塾では、顔認証による入退室管理や出欠確認が見守りの仕組みとして紹介されている。見守りと記録は、同じ基盤の上にある。

スーパーやドラッグストアでは、防犯カメラ映像をAIで解析し、不審な行動の兆候を検知するサービスが紹介されている。小売業界の記事では、万引き対策や人手不足を背景に、AIカメラの導入効果が語られている。

たとえばアースアイズ社のAIカメラについて、同社が2023年に検知率96%以上を達成したと発表したこと、導入店舗で在庫ロスが減少した例があることが報じられている。もちろん、これは企業側の発表や業界記事を通じた情報であり、そのまま万能性を示すものではない。ただ、こうした数字が出てくる程度には、実験室ではなく店舗運用の話になっている。

重要なのは、ここで見られているのが「盗んだかどうか」だけではない点である。

  • 商品棚の前で迷う
  • 周囲を見る
  • 同じ場所を行き来する

こうした行動のパターンが、注意喚起の対象になりうる。買い物という普通の行為の中に、疑わしさを先に読む仕組みが入ってくる。

表情を読むデジタルサイネージ

Section titled “表情を読むデジタルサイネージ”

映像解析は、防犯だけでなく広告にも使われる。顔認識や属性推定を使うデジタルサイネージでは、カメラで通行者や利用者を捉え、年齢層、性別、表情、視聴時間などを推定し、表示する広告や案内を切り替える。

NECのターゲット広告サイネージのように、来店客の属性や表情をリアルタイムに判定し、広告の内容を変えると説明される事例がある。笑顔の頻度を「スマイル率」のような指標として扱い、広告への反応を測る発想もある。イオンモール豊川では、AIカメラ付きのタッチパネル型サイネージが複数面設置され、利用者の属性に応じておすすめ情報を出し分ける事例が紹介されている。

広告は一方的に流れているように見える。しかし実際には、見ている側の顔や反応を読みながら内容を変える仕組みが入ってくる。個人名を知らなくても、人は次のような単位に分けられる。

  • 何歳くらいか
  • どの表情をしたか
  • どの広告に反応したか

顔認証の不気味さは、カメラの前だけで完結しない点にもある。2019年には、東京・渋谷の書店3店が、万引きの疑いがある人物の顔画像を店舗間で共有する取り組みを始めたと報じられた。

ここで問題になるのは、本人に見えない場所で**「疑わしい」**という記録が作られ、それが別の店舗や施設の判断に使われうることである。実際に万引きをしたかどうかとは別に、いったん要注意人物として扱われた場合、その記録がどこまで共有され、いつ消えるのかを本人が把握しにくい。

防犯の必要性はある。一方で、顔画像と疑いのラベルが結びつくと、買い物や移動の自由が、見えないリストによって変わる可能性がある。これは、顔認証が単なる入退室の便利機能にとどまらないことを示している。

駅前、商業施設、自治体の施策では、スマートフォンの位置情報や通信由来のデータから、人の流れを分析する取り組みが行われている。通行者数、滞在時間、移動元、来訪後の行動は、まちづくり、広告、店舗運営、防災などの判断材料になる。

国土交通省の人流データ利活用事例集にも、自治体や地域施策での活用例がまとめられている。ドコモのモバイル空間統計のように、携帯電話ネットワーク由来の人口統計情報として提供されるものもある。

多くの場合、これは個人を直接特定しない統計データとして説明される。その説明は重要だが、それだけで不気味さが消えるわけではない。名前を知られなくても、測定されるものはある。

  • どこに人が集まるか
  • どこで離脱するか
  • どの導線が収益や施策に効くか

街を歩くこと自体が、分析対象になる。

職場では、PC操作ログやIT資産管理ソフトが使われている。目的は情報漏洩対策、勤怠確認、IT運用管理である。リモートワークが増えた環境では、労働時間や端末利用の把握は、企業側にとって現実的な管理課題でもある。

SKYSEA Client Viewのような製品は、ログ管理を情報漏洩対策やIT運用管理の機能として説明している。ただし記録されるのは、成果物だけではない。

  • アプリケーションの利用
  • ファイル操作
  • 通信
  • 端末の利用状況

働いているかどうかの判断が、成果ではなく操作の痕跡に寄っていくと、作業のリズムそのものが評価の対象になりうる。

これらの技術に共通するのは、個人名を必要としない点である。人は次のような単位で測定・分類され、ときには誘導される。

  • 年齢層
  • 行動パターン
  • 滞在時間
  • 移動
  • 操作履歴

導入の名目は、安全、防犯、効率化、人手不足対策であることが多い。

不気味さがあるとすれば、違法かどうかよりも、本人の同意や自覚の外側で空間のルールが変わる点にある。ある場所に長くいること、迷うこと、立ち止まること、画面から目を離すことが、システムの中では別の意味を持ちはじめる。

技術そのものを単純に悪とする必要はない。防犯や安全管理に役立つ場面はある。ただし、便利さと管理は、しばしば同じ装置で進む。

モスキート音発生装置のような技術は、感覚的な不快感を与えることが排除の手段そのものだった。一方、この十数年で重心が移ったのは、入力データの蓄積とAIを組み合わせた技術のほうである。

表情、年齢層、行動パターン、滞在時間、位置情報から対象を静かに記録し、分類し、次の判断に渡す沈黙の技術だ。

不気味さは、直接の不快感から、気づかれにくい記録・分類・共有へ移っているように見える。

不気味な技術は、ある日突然やってくるものではないらしい。便利で安全そうな設備として、駅の照明、商業施設のサイネージ、コンビニの軒先、職場のPCの中に、少しずつ置かれていく。

それらは防犯や効率化のために導入される。しかし同時に、そもそも監視とは何か、安全とは何かという問いにもつながっていく。今回調べた範囲では、技術そのものよりも、それが当たり前の風景になっていくことに、不気味さがあるように感じた。

  • 便利さや安全のための導入と、本人の自覚外で進む分類をどう区別するか。
  • 個人名を使わない統計処理でも、空間のルールが変わる場合にどんな説明責任が必要か。
  • 身近な管理技術を観察するとき、どの時点で「不気味さ」を制度の問題として扱えるか。

画像: Mosquito Noise Device.jpg / Sunmist / CC0 1.0 / 変更なし。

画像は、ライセンスと技術の直接性を確認できたものだけ掲載した。モスキート音装置以外の技術については、条件を満たす画像を確認できなかったため本文のみで構成している。